尖圭コンジローマの治療は、塗り薬(ベセルナクリーム)を使った薬物療法と、イボを取り除く外科治療の2種類に分類されます。
どちらもメリットとデメリットがあり、症状の出方(発症部位、いぼの数)や重症度(おおきさ、形状)によってどちらが最適か個人差が出ます。
病院での流れは問診によって症状に気づいた時期や自覚症状などが聞かれ、陰部から肛門にかけてじっくり視診が行われます。
尖圭コンジローマは視診で診断できる場合がほとんどですが、イボの一部を切り取って組織検査を行うこともあります。
医療機関によって受けられる治療法が異なり、外科治療を行っていない所もあります。複数ある所でも、医師が治療法を判断する場合もあれば、患者が治療法を選べる場合もあります。

ベセルナクリームによる治療(免疫療法)
出典:ベセルナクリーム5% | 持田製薬株式会社
ベセルナクリームを継続的に塗って患部の免疫力を高め、ウイルスや感染細胞を死滅させてイボを消滅させる治療法です。
薬物療法の主なメリットは以下の通りです。
- イボの数が多い場合や広範囲におよぶ場合も治療できる
- イボの跡が残らずきれいに治る
- 再発しにくくなる
一方デメリットは以下の通りです。
- 副作用として皮膚のただれが起こりやすい
- 治るまで時間がかかり、治療期間が長期におよぶこともある
- 尿道、膣内、子宮頸部などの粘膜にできたイボは治療できない
外科治療によるイボの除去

お医者さんの施術によって、患部のイボを取り除く治療法です。
外科治療のメリットは以下の通りです。
- ベセルナクリームが効かなかった場合にも治療できる
- 尿道、膣内、子宮頸部などの粘膜にできたイボも治療できる
- 治療が比較的短期間ですむ
一方デメリットは以下の通りです。
- 広範囲に点在しているイボは治療が困難な場合がある
- 痛みや出血をともなう
- 再発が起こりやすい
外科治療には液体窒素を用いた凍結、レーザーを用いた蒸散、電気メスを用いた焼灼、外科手術による切除の4種類があります。
医療機関によっては、施術の後で再発防止のためにベセルナクリームを処方する所もあります。

液体窒素を用いた冷凍凝固
‐196度の液体窒素をしみ込ませた綿を患部に押し当てて凍結させ、細胞を壊死させてイボを取り除く方法です。比較的小さなイボに対して有効な治療法です。
麻酔を使わず出血もないので体への負担が少なく、体の弱い方や持病がある方でも安全です。跡も残らず、くり返し行えます。
デメリットはとして塗布時に強い痛みをともない、塗った後も数日間は痛みが続きます。痛みの他にも水ぶくれ、びらん、ただれといった症状が出る事があります。
1回の施術では治らず、数回の通院が必用になります。通常は治療期間として3ヶ月ほど、1~2週間に1回の通院を続けます。場合によっては治るまで半年以上の期間を要することもあります。
尖圭コンジローマだけでなく、イボの除去全般において古くからよく知られている治療法です。


子供の頃にイボの治療でやった事あるけど、痛くて痛くて泣きそうになったなぁ…。
電気メスを用いた焼灼
高周波電流による電気メスを用いてイボを焼き切る治療法です。小~中程度の大きさのイボに対して有効であり、イボが多くできていても行えます。麻酔を使って行うため、痛みは麻酔をする時と手術後になります。
手術後にやけど、びらん、ただれ、痛みが出る事があります。
跡が比較的残りにくく、手術後の痛みも液体窒素に比べると軽減されます。
レーザーを用いた蒸散
炭酸ガスレーザーを用いてイボを焼き切る治療法です。小~中程度の大きさのイボに対して有効であり、広範囲にわたってイボが多発している場合でも行なえます。麻酔を使って行うため、痛みは麻酔をする時と手術後になります。
レーザー焼灼の場合、患部にレーザーを直接あてるとウイルスが周囲に飛び散って、リング状に再発をしてしまう恐れがあります。
レーザー治療は技術力が求められますので、腕の確かな医師がいる医療機関を選ぶことが大切です。


ヤブ医者に限って、内輪の口コミなんかで評価ごまかしたりするからなぁ…。
外科手術による切除
鉗子(かんし)と呼ばれる器具を使ってイボを切り取る治療法です。小さなイボから大きなイボまで幅広く治療できます。手術は麻酔を使って行われますので、痛むのは麻酔注射および手術後です。
術中は出血をともない、必要に応じて縫合が行われます。術後にただれ、びらん、痛みが出て傷跡が残ります。
保険適用外の薬やサプリメント
医療機関によっては、ベセルナクリーム以外の治療薬(保険適用外)を処方しているところもあります。自費診療となりますので治療費は高くなりますが、ベセルナクリームが効かない場合に外科治療以外の選択肢として有効です。
他にもイボに効く漢方薬としてヨクイニンが尖圭コンジローマの治療にも用いられています。
ポドフィリン液
ポドフィリンは、ポドフィルムという植物の根から抽出された毒素です。ポドフィリンの塗り薬には組織腐食作用があり、HPVを攻撃するとともにイボの表面を剥離します。
副作用として塗布部に痛みや刺激、炎症、ただれを起こします。しばらくすると乾燥してイボの表皮がポロポロ剥がれ落ちて新しい皮膚に入れ替わります。
肌が敏感な方が使用すると、まれに激しい痛みや赤く腫れ上がる炎症を起こす事があります。
日本では医薬品として認可されていないため、保険適用外となります。
5-FU軟膏、ブレオS軟膏
5-FU軟膏およびブレオマイシン軟膏は皮膚がんの治療に用いる塗り薬です。5-FU軟膏の主成分はフルオロウラシル、ブレオS軟膏の主成分はブレオマイシンという抗がん剤で、どちらも尖圭コンジローマは適応外となります。
抗がん剤を尖圭コンジローマのイボに塗布することにより、HPVのDNA合成を阻害して死滅させます。
ヨクイニン(ハトムギ)
ヨクイニンはハトムギの種皮を取り除いた種子から作られた漢方薬です。体内の新陳代謝を活発にして肌のターンオーバー(入れ替わり)を促進する働きがあり、ウイルス性のイボや肌荒れを緩和する効果が期待できます。
漢方薬ですので体に優しく、誰でも気軽に飲めるのがメリットです。尖圭コンジローマの場合は単体での治療が難しくなりますが、ベセルナクリームなど他の治療法と併用できます。
ヨクイニンは薬局や通常の通販サイトで購入できます。
尖圭コンジローマの再発率
尖圭コンジローマは、イボを治療した後も再発を起こしやすい疾患です。イボを治した後、3ヶ月以内に25%の確率で再発しますので、その間は様子を見なければなりません。
ベセルナクリームを塗って患部の免疫力を高めれば再発しにくくなりますが、それでも再発を繰り返す場合があります。
薬や外科治療でイボを除去しても、皮膚の奥深くに感染したHPVまで根絶させることはできません。潜んでいたウイルスが表面化すればイボが再発しますので、そのつど治療を繰り返します。患部の周辺にウイルスが残っていて、周辺部位に再発するケースもあります。
尖圭コンジローマは治らない?自然治癒する?
尖圭コンジローマの治療をしても再発を繰り返す場合、このまま一生治らないのではないか?と不安になってしまうものです。
尖圭コンジローマに感染しても、体の免疫がしっかり機能していればHPVを撃退できます。体の免疫力(自然治癒力)を高めれば、体内に残っているHPVを徐々に減らして再発を少しずつ防げるようになります。
免疫力を高めるには、第一に疲れやストレスを溜め込まない事です。なかなか治らないからといって落ち込まず、根気よく治療を続ける事が大切です。
生活習慣の改善や自分なりのストレス解消法を実践し、自然治癒力を高めることが完治のカギです。

尖圭コンジローマの治療に関する体験談
病院で尖圭コンジローマの治療を受けた皆様から寄せられた体験談を紹介します。
液体窒素とベセルナクリームで
田中さん(男性)
尿道口の近くとカリの根本にできたイボイボを医者に診てもらったらコンジですねって言われて、ちんこに液体窒素をやった。結構痛かった。
液体窒素と、再発を防ぐためですって言われてベセルナクリームを出された。
塗るとただれて痛くなる薬らしく、寝る前に塗るとアソコが痛みだして寝付きが悪くなった。
だいたい3ヶ月ほど液体窒素とベセルナクリームの組み合わせで治療を続けて、やっとイボが治った。
レーザーで焼いてベセルナクリームで一発でした
ヒロコさん(女性)
パートナーから尖圭コンジローマに感染して、大陰唇の周辺と小陰唇内部にイボができちゃいました><
レディースクリニックで治療したのですが、レーザーでイボを深めに焼いてからベセルナクリームを処方されました。
ベセルナクリームを2ヶ月ほど塗ってから、3ヶ月ほど様子を見ました。イボは完治して、再発も起きていません。
後から知人に聞いた話では、レーザーは下手な医者だとウイルスを飛び散らせて再発させてしまうという事でしたので、私は運良く腕の良いお医者さんに当たったようです^^